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☆まったく違う!「ソーシャルゲーム」と「普通のゲーム」②課金編

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前回の記事、

☆まったく違う!「ソーシャルゲーム」と「普通のゲーム」①ユーザーの違い編

の続きです。




ゲーム制作会社Dropwaveの副社長、
本城嘉太郎が自身の制作経験を踏まえて行った、


「ネットワークゲーム時代に求められる、ゲームプランナーの基礎知識」


と題する講演が、人間の心理やユーザーの習慣をよく捉えていて、
非常に勉強になったので自分なりに分かりやすくまとめてみました。


また、今、コンプガチャが違法と騒がれていますが、
製作者側の視点とか意図も知っておくと、
違う側面からもソーシャルゲームがどういうものかわかるかもと思いました。


今日は

「ソーシャルゲームでいかにユーザーから金をしぼりとるか」

を目的とした課金偏です。






ではいきます。







顧客生涯価値 LTV:Life Time Value



という言葉があります。オンラインゲームで言えば、


「1人のユーザーがゲームを始めてからやめるまでに使うお金の総額」


オンラインゲームは毎月お金を払うため、
継続率を上げればLTVは何倍にもなるので、


継続率


が一番大事なのだそうです。


これをまず頭においておくといいかもしれません。
ではユーザーがよく金を落とすオンラインゲームの作り方のポイントをまとめていきます。






■オンラインゲーム設計のポイント


1番目「面白いゲームを作る」


つまらなければすぐやめてしまい、継続率も上がりません。
LTVも上がらず最終的な儲けが非常に下がります。






2番目「ビジネスモデルとしてゲームを設計する」


コンシューマゲームを作る場合


「爽快感が気持ちいいです」
「このストーリーが感動するんです」


と言えるように作ります。
しかしオンラインゲーム、ソーシャルゲームの場合


「このゲームはここで儲ける」
「ユーザーにどこでお金を払ってもらうか」



ということを考えて設計する。でないと


「このゲーム面白いけどお金を使うところはないね」


となり事業としては失敗する。


ゲームの企画と課金の企画は必ず同時に行うくらい重要。






3番目「非課金者と課金者で二重にゲームバランスを整える」


オンラインゲームでは半分以上の人が無料でゲームをし、
残りの数%、数十%のプレイヤーがお金を使って有利にゲームを進めます。




ユーザーが武器を装備して戦うようなゲームで、
強い武器を100円で売ったりすれば、
当然、課金ユーザーと非課金ユーザーで有利不利が生まれてゲームバランスが崩れます。


しかし、その、


「バランスが崩れた中でどうバランスを取るか」


というのがオンラインゲームなのだそうです。




いきなり課金で強い武器を買うプレイヤーは全体の中に数%。


その数%を倒さないとゲームが進まないわけではないので、
その数%と出くわさないようにすると大きな問題にはなりません。


そして、


数%の重課金プレイヤーは、
5000円払って強い武器を手に入れ周囲のプレイヤーをなぎ倒して爽快感を感じ、


「5000円払って良かった」


と思って遊ぶようにさせる。




無料ユーザーはやられ役になるが、
やられたことによってイベントを発生させたりして


「課金ユーザーには負けてもしょうがないよね」


という気にさせるゲームデザインにしておく。






数%の圧倒的に強い課金ユーザー以外の、
90%以上の無料ユーザーたちは大して強さが変わりません。


ですので、無料ユーザーは、
課金ユーザーを倒せなくてストレスがたまるかと思いきや、
他の90%の無料ユーザーといい勝負になるので大して不満も高まらないそうです。




ただし、思いきり差をつけてしまってはだめで、
そのためには課金アイテムの値段を上げます。




例えば無料ユーザーを、

5万円使うと簡単に倒せる
10万円だったら瞬殺

というふうにします。
それでもお金使う人は使うそうです。


バランスとしては


「5000円使うとそこそこ有利だけど、頑張ってる無料ユーザーには負ける」
「でも3万円使ったらさすがに簡単に倒せる」


というくらいがいいそうです。






こうやって課金者と非課金者のバランスをうまく調整しながら、
一定以上使った人にはちゃんと無敵プレイが出来るようにする。


「無料ユーザーのゲームバランスと課金ユーザーのゲームバランスの間のバランス」


をうまく取ることが重要だそうです。






4番目「課金と非課金の差を見えにくくする」


「課金してることが露骨にわかる圧倒的に強いアイテム」
「課金者にしか手に入らない相手にも見える武器やカード」


は非課金ユーザーが課金ユーザーを非難する口実になってしまうし、
無料ユーザーのやる気を無くしてしまいます。


9割の無料ユーザーは続けていけば課金してくれるようになるので、
やられ役ではあってもちゃんと満足させ、
やる気を無くさないようにしないとだめ。


そのために


「無料でも頑張れば有料と同じくらい強くなれる」


と思わせる。そのためには、


「利用していることが分かりづらい課金アイテム」



がオススメだそうです。


「とても強い武器」


を直接販売するのではなく


「強い武器の合成を成功させるためのアイテム」


を販売する。そして、


「課金しなくてもその武器を作るための素材は集めることができる」
「しかし成功率は0.01%」



という具合にしておく。そうすれば掲示板に


「あの強い武器を無料で成功させたよ」


という書き込みがされ、
無料ユーザーに希望を持たせることができる。


そうした状況で


「合成を100%成功させる課金アイテム」



を売れば金を払って強い武器を簡単に手に入れるユーザーが現れますが、
無料ユーザーはそれが、


「たまたま凄く運が良かった」のか「課金をしたのか」


が分からず、非難することもなく、


「俺も運が良かったらああなれるのかな」


と思ってやる気を無くすこともない。






「時間短縮アイテム」

も課金と非課金の境界線を曖昧にできます。


金の力で時間を短縮して強くなったプレイヤーを無料ユーザーが見ても、


「この人はヘビーユーザーだからレベルが高いのかな」


と思いこみ、金のせいとは思わないのでオススメなのだそうです。






5番目「商品設計は消費アイテムを中心にする」



「確率UPアイテム」
「体力回復アイテム」
「時短アイテム」



のような「消費アイテム」は継続的に売れ続けますので、
運用が楽でコストも抑えられ、収益化もしやすい。




逆にダメなのは、


「新しい武器を毎月追加する」



なぜダメかというと、強さがインフレしていくから。


新しい武器を売っていくとどんどん強くなっていっていき、
初期の最強武器は強さ500だったのに、
最終的には強さ50000とかになって初期に始めた人が勝負にならなくなる。






6番目「アバターゲームを作ってはいけない」


アバターゲームの場合、


「まったりユーザーが残るので課金されない」
「課金の必然性が演出しづらい」



アバターは人に見られて綺麗だねと言ってもらえるただの自己満足でしかなく、
ゲームの中でそれを買う必然性がありません。


これはオンラインゲームとして致命的。また、


「新規アバターを追加し続けるための運営コストがかかる」


毎月デザイナーの人件費がかかり利益を圧迫します。そして、


「ゲーム性が浅くなりがちでコアユーザーが寄り付かない」


これはあまり儲からないということを意味します。
要するにアバターゲームは儲からないということです。





※補足※
「アメーバピグなんかはアバターで成功しているじゃないか」

という質問が会場であったそうですが、本城によると、

「アメーバピグはそもそもゲームではなくコミュニティサイト」
「あそこに集まる人はゲームをしたいと思ってきているわけではない」
「ゲームを大きくしてそこで課金する方が全然儲かります」
「コミュニティサイトであればアバターは良いと思いますが、
我々コンシューマゲームの開発者であればゲームの中身、面白さで勝負したい」


だそうです。






7番目「どうしても課金したくなる場面を演出する」


課金アイテムを売るには、


「何故今このアイテムを買う必要があるのか」


を提示するのが大事。


3つ例を出すと、


「滅多に出ないラッキーチャンスを逃したくない」という演出


ドラクエで例えると…


ドラクエにはめったに出会えず、おまけにすぐ逃げだすが、
倒せば莫大な経験値をもらえる、

「はぐれメタル」

というモンスターが出てきます。

「はぐれメタルが逃げなくなるアイテムが300円です」

と言われたら多分ほとんどの方が払う。






「今だけお得」という演出


「経験値3倍になるアイテムを今から5分間だけ特別に売る」

とユーザーにせまる。






「今課金しないとまた面倒なことになる」という演出


「怪盗ロワイヤル」はお宝を集めるゲームで、
宝箱を7個集めるとコンプという状態になって集めたお宝を奪われなくなります。


でもお宝が6個になってすぐに奪われて3歩戻るような、
そういう一進一退を繰り返すと、もう面倒くさくなります。


「6個あって体力0になったけど、どうせ放っといたらまた取られちゃう」
「だったら100円使ってもう一回バトルしてコンプしちゃおう」


と、いう感じ。




これは「ストレスの緩和」というオンラインゲームの基本を突いているそうです。

(ただし最近はこの手の課金はユーザーがストレスを感じで嫌気がさすので流行っていないそうです)




「このアイテムを、今この瞬間絶対買いたい」


と思うシチュエーションを演出して、
それをゲームのメインサイクルに入れるのがオンラインゲームでは大事なのだそうです。






8番目「コミュニティを活性化させること」


「仲間がいると有利になる」
「助けてくれる」
「プレゼントが贈られてる」



というような仲間同士の協力の要素を入れることでコミュニティは活性化します。


たまたま友達となった人とダンジョンに潜って


「自分は魔法使いで君はナイトだからパートナーになってね」


みたいな話をして皆でダンジョンに潜って


「今日楽しかったね」


と盛り上がったりしてゲームの仲間と関係を深めることで、
その関係を切ることに罪悪感を覚えるようになって、
長く遊んでもらえるようになります。


そしてゲーム自体には飽きても仲間が迷惑すると思って続けてしまう、
というような状況を作り出すことができます。






■オンラインゲームの運営の基本


オンラインゲーム運営の目的を一言で言うと


「顧客生涯価値(LTV)を最大化する」



です。




LTVを上げるためにまず継続率が非常に大事です。


課金率、課金額と比べて継続率は軽視されがちですが、実は一番大事。


運営が始まったらまず継続率を上げる。
その次に課金率、課金額に着手。

結局は「ユーザーをいかに満足させられるか」ということに集約されるそうです。






ここからが本番です。






1番目「開発完了しても絶対に気を抜かない」


開発と運営は両輪で、どちらが欠けても失敗する。
開発だけではまだまだ未完成。






2番目「自分は今日から店長だと気持ちを切り替える」



ゲーム制作だけでなくカリスマ販売員にならなくてはいけない。


接客業の経験があったり、お客様とのコミュニケーション経験のある人が向いてます。
また、売り上げ管理が好きな人にも向いている作業です。

逆に職人肌のゲーム作りの人にはあまり向いていません。


「ユーザーがゲームをもっと楽しめるようにするにはどうすれば良いんだろう」



ということを日々考えることです。






3番目「まずはチュートリアル通過率をとことん改善する」


チュートリアルとは操作方法の説明ですね。


ユーザーが脱落するのはチュートリアルと一日目なので、
チュートリアルの全フェーズの脱落率を計測し、
離脱が多い箇所をどんどん改善し、
チュートリアル通過率の90%越えを目指し、そして、

「やったその日にいかに楽しませるか、飽きさせないか」


を大事にする。






4番目「最初は継続率の改善に集中する」


課金率や課金額は後からでも上げられるので、継続率を上げるようにする。


継続率が低いのは

「そもそもゲームがつまんない」
「ゲームを理解することをあきらめた」


ということなので、まず継続率を上げないとそのゲームの寿命は短いそうです。


「始まってから30分間にお客様がどう行動したか」

を全部分析して

「自分が思った通り動いているかどうか」

を調べ必ず30分間の演出を全部設計して、
どうしたらその通りにお客様が動いていくかを考える。






5番目「毎日ひたすら改善を繰り返す」


1年365日継続するビジネスなので、
今日改善したことは1年間で365倍になって返ってくる。


今日継続率1%上げると、
365日ずっと1%上がっているので凄い差になります。
毎日こつこつ小さい改善をすることが実はとんでもない差を生む。






6番目「ゲームバランス面から離脱箇所を改善する」


これも継続率の改善です。

まず3日以上ログインしなかったユーザーを離脱したとみなして、
そのユーザーの行動のログを抽出しどこで辞めたか徹底的に分析。






7番目「アイテム販売方法の工夫する」


現実の小売店がやっている細かなイベントが有効。


「毎日違うものが割引」
で毎日ゲームをプレイする動機につなげる。

「突発的なタイムセール」

で理性を失ったユーザーが買う。






8番目「ゲーム内の新商品を徹底的に宣伝する」


新しいアイテムを販売したりクエストを追加した場合は、
専用の紹介ページを必ず作って商品の魅力を全力でアピールする。






9番目「広告を打つ」


コンシューマゲームでは発売日の前後に広告を集中させますが、
オンラインゲームはリリース後から本格的な広告を打つ。


ただし、継続率が低いうちは広告を打ってはいけません。
入ってきたユーザーがザルのように流れるので。


1か月後の継続率が0.5%しかない時に1000万使っても全く回収できないので、


「1か月後の継続率が何十%を越えたら打とう」



ということを決めひたすら最初の継続率の改善をする。






・・・ちょっと長いですが、興味深い内容でした。特に、

4番目「課金と非課金の差を見えにくくする」


はよく考えてるなぁ!と感心しました。




また、課金というと、
どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいますが、
そんなイメージを持ってはいけないと本城は力説しています。


みんな趣味の釣りや車には5万も10万も使って平気なんだから、
それだけ楽しませればそれくらいゲームで課金させてもいいと言っていました。


正直、これは一理あると私は思います。
いかにユーザーを楽しませようかと知恵を絞っているわけですし。


ただし、それは、

ゲーム内でクジの操作や掲示板の書き込みのヤラセなどの運営側の不正が無ければ

の話です。


コンプガチャの件で、こういった運営側の不正も、
ある程度は表にでてくるんじゃないでしょうか。


金をある程度使わなければ、
目的のカードをひかせないシステムにしている、

なんて内部告発もあるようですし。




人の心理を巧みにつき、大もうけして一時代を築いたものの、
規制されるかも、という記事ひとつで脆くもはじけた、
ソーシャルゲームのバブルがこれからどうなっていくのか、
これからも見ていきたいと思います。






==関連記事==
☆まったく違う!「ソーシャルゲーム」と「普通のゲーム」①ユーザーの違い編
☆ソーシャルバブル崩壊!?「コンプガチャ」規制か!?グリーとモバゲーのDeNAの株価が大暴落!





おまけ。


オンラインゲームの基礎用語


DAU:Daily Active User


日次アクティブユーザー数。
その日にゲームにログインした人の数、ユニークユーザーの数
Unique UserはUUという省略をしますので会社によってはデイリーUUと言います。




MAU:Monthly Active User

月次アクティブユーザー数。マンスリーUUとも言う。




PU:Paying User

課金したユーザーの数。

「今日はDAU1万人だったけどPUは100人だったね」→課金率1%。




ARPU:Average Revenue Per User

全ユーザー平均課金額。その日の課金額を全ユーザーで割った値。


例えばDAUが1万人で日商100万円だったら、その日のARPUは100円です。
「1人当たり100円儲けてましたね」


広告効果を測定でき広告を打つべきかどうか判断するのに使える。

1人当たり獲得単価が300円でARPUが500円だったならば
「これは広告うちまくろう、見てもらえれば儲かる」


獲得単価300円で今月のARPUが100円だったなら
「3か月間継続しないと儲からないからこれはやめた方が良いな」




ARPPU:Average Revenuer Per Paying User

課金ユーザー平均課金額。
日商をお金を払った人だけで割った値。
お金を払った人が平均でいくら使ったのかという指標。


「DAUが1万人で、売り上げが100万円。課金者は100人」
「ARPPU=100人で100万円割って1人1万円」

全ユーザー平均課金額を見ると一万人が100円ずつ使ったように見えますが、
実はその中の1%しかお金を使ってなくて、
しかもその人たちは1人あたり1万円使っていたりする。




課金率:全ユーザーの中で課金した人の割合。

DAUが1万人で課金した人が100人だった場合は課金率1%。




継続率

ゲームを開始してから、
翌日、1週間後、15日後、30日後に、
どれくらいの割合でお客様が遊んでくれているのか。


オンラインゲームは無料なのですぐやめる人が多く、
そこでどれくらいの人が継続してくれてるのかを調べるのが非常に大事。




KPI:Key Performance Indicator

「重要業績評価指標」

DAU、MAU、PU、ARPU、ARPPU、課金率、継続率などです。
「経営指標」「業績評価指標」と呼ぶと長いのでKPIと一言で言う。


この指標を確認するためのツールをKPIツールと呼ぶこともあります。




LTV:Life Time Value

顧客生涯価値。

非常に重要な考え方で、

「1人のユーザーがゲームを始めてからやめるまでの使ってくれるお金の総額」

コンシューマゲームは一度購入したらお客様を掴んで終わりですが、
オンラインゲームは毎月お金を払うので、
継続率を上げればLTVは何倍にもなる。
継続率を1%上げるだけで相当違う。


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